家のほこり(ハウスダスト)を吸うと喘息や鼻炎がおこることは古くから知られていました。ハウスダストの中にはいろいろなものが含まれています。綿や絹などの糸くず、フケ、カビ、細菌、ペットの毛、ダニやその死骸・排泄物などが含まれているわけです。これらはそれぞれが喘息の原因になりえるものですが、その中でもヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニが最も重要な喘息の原因アレルゲンです。
ダニは、私たちの家屋内にもたくさん住み着いており、1家屋全体で数千万から数億匹と推定されています。これらのダニは、高温多湿を好み、気温が20〜30℃になると増殖し、75〜85%の湿度を好みます。すなわち、日本の環境に適しているわけです。7〜9月にかけて多く増殖し、冬季には数が減り、春になり気温が高くなると、再び増殖し始めます。このダニの数の変動は喘息発作の好発時期が春と夏から秋であるという事実と一致します。
ダニが多い場所は、布製のソファーや椅子、カーペット、子供の愛用するぬいぐるみなどとされています。また、寝具にいるダニの数は、平均すると、毛布824匹、掛け布団380匹、マットレス250匹、敷き布団130匹という調査があります。寝具は、体から蒸発する水分を吸い、かつ私たちの体温で暖められ、ダニが食べるフケやゴミがついているので、絶好の住みかの一つになります。こどもは、1日の約半分を寝具の中で過ごすので、十分に気をつける必要があります。羽毛や羊毛はそれ自体がダニの餌になるので、ダニが非常に増えやすい素材です。化繊や綿のものの方がよいでしょう。最近は、「ダニ防止」の処理をした寝具も出ています。