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 食物アレルギーとは? 

 

 食物アレルギーとは、ある食品を食べると、そのあと必ずアレルギー症状(じんましん、呼吸困難、腹痛、血圧低下など)を起こすことです。食品を食べてから症状が出るまでの時間は、多くの場合は30分以内。まれに数時間後ということもあります。
 出現する症状が、じんましん、呼吸困難、意識障害など複数の症状が同時に出現し重症なものをアナフィラキシーといいます。

 食物アレルギーは、その食品を10回食べれば10回症状が出ます。その食品を食べても、症状が出る時と出ない時がある場合は、食物アレルギーの可能性は低いです。

 子供が食物アレルギーで死亡することは、きわめてまれなことで、全国で数年に1人くらいです。

 食物アレルギーの有無は血液検査や皮膚テストでは決定できません。検査で陽性になっても症状が出ないことや、逆に検査が陰性でも症状が出てしまうこともあります。そのため、食物アレルギーの確定診断としては、「食物負荷試験」をおこないます。疑わしい食品を微量から徐々に食べさせてみて症状が出るかどうかを確認する検査です。これをおこなうと、「何を」「どのくらい食べれば」「どんな症状が出るか」がわかります。ただ、この検査はアレルギー症状が出る可能性があるので、必ず医師の指導のもとでおこないます。

 1990年代までは、疑わしい食品があれば除去してできるだけ食べないようにするという指導が一般的でした。アレルギー体質の両親から生まれた赤ちゃんは、できるだけ人工栄養は控えて母乳だけで育てるという試みもありました。しかし、母乳で育てた赤ちゃんのほうが、人工栄養で育てた赤ちゃんよりも食物アレルギーになる確率が高いという研究が報告されるようになり、次第に考え方が変わってきました。
 
 2010年頃に新しい発見が2つありました。
 ひとつは、乳児期早期からいろんなものを与えたほうが食物アレルギーになりにくいということです。乳児期早期(3ヶ月くらい?)からミルク(牛乳)を与えたり、微量の卵や小麦などを与えた子供のほうが食物アレルギーになりにくいことがわかってきました。どうやら乳児の腸管には、その時期に食べたものではアレルギーを起こさないようにする機能があるようです。
 母乳だけで育てた子供のほうが食物アレルギーが多くなるのは、これで説明がつきます。

 もうひとつの発見は、食物アレルギーは口から食べたものがきっかけになるのではなく、皮膚から侵入した微量の食品がきっかけになるということです。
 たとえば、ヨダレかぶれで口のまわりが荒れていると、その小さな傷口から微量の食品が侵入してアレルギーを成立させ、その後はその食品を食べるたびにアレルギー症状が出るようになるのです。
 アトピー性皮膚炎の子供に食物アレルギーが多いのは、これで説明がつきます。
 以前、小麦の成分を含んだ石鹸で洗顔をしていた女性たちが、その後、小麦アレルギーになったという事件(?)があり報道されました。これも、小麦の成分が皮膚から侵入して食物アレルギーを起こした例と考えられます。

 この2つの発見があり、最近のアレルギーの指導は以下のように変わってきました。
 1.乳児期早期の湿疹は、積極的に治療したほうが食物アレルギーになりにくい。
 2.乳児期早期から、いろんなものを与えたほうが食物アレルギーになりにくい。
 3.食物アレルギーに対しての除去食は、確実にアレルギーを引き起こすものに限る。疑いだけで除去をしない。口のまわりが少し赤くなるだけなら除去はしない。


 当院でも「食物負荷試験」をおこなっています。食物アレルギーがご心配な方はお気軽にご相談ください。